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2010年11月 8日 (月)

黄落 こうらく

 6日、土曜日。
ずい分久しぶりに 図書館に出掛けました。 
最後に行ったのが 借りていた本を返しに行った時で 4月の終わりでした。 もう あれから 7ヶ月ぶりという事になる。 義母が来てからは 本どころではなかった。 DVDもCDも 落ち着いて聴いている 心の余裕がなかったのです。
 
 以前は 暇が出来ると 図書館に出掛けるのが好きでした。
 クラシックのCDは 地元のCDショップに出掛けるよりも 図書館で探した方が外れないと 思っている。 なので 有名ピアニストや 交響楽団などがずらりと並んでいる棚の前で 
 「今日は何を 借りようかなぁ~?」と なんともお気楽に 考え込んでいる時間が好きでした。
 それに 当時は 東京で 某古本屋さんのバイトをしていた娘が 「今は○○が面白いよ。」などと アドバイスのメールを 時々入れてくれたので それらの本も 一緒に借りて読んだりしていました。 好きな音楽に のんびりと読書。 なんと 贅沢な時間だったことか…。

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 先日 コメントで紹介していただいた
 「黄落」 佐江衆一 著  
 「熊の場所」 舞城王太郎 著 を 探してみました。

 沢山の本棚の中に 佐江さんの本が数冊、舞城さんの本の棚にも4~5冊並んでいて 私にはどちらの作家も始めて聞く名前だったので 「面白かったら他の作品も 読んでみよう。」と 思いました。

 この土日で 「黄落」を 読み終えました。

 JIさんが、コメントで 介護の参考になるかも…と 紹介してくれました。
 小説とはいえ これはまさに ドキュメンタリーです。 
切実な 在宅介護の心理が 描かれていました。 
私が 毎日 切々と感じているやるせない気持ち、苛立ち。 同じだと感じてしまう部分が多かったです。
 主人公トモアキが 実の両親に抱く愛情と 同時に常に感じてしまう 正反対の嫌悪感。
実の息子で 愛情いっぱいに育てられた家庭であっても やっぱり 介護は我が家と同じように 家族を崩壊してしまうものなのだとしたら 人間の求めている長寿っていったいなんなんだろうな~?
もっとも、80代後半から90代の両親が 同時に介護状態になるというのは もの凄いストレスだろうと思います。 小説でなくても 実際に同じ状態で 介護していらっしゃる家族だって 広い世の中には 数多くいるのかもしれない。 
 高齢による痴呆症は 90歳でも 精神的にはアルツハイマー症の痴呆とは 全然違うんだっていう事も なんとなく理解できた気がします。 小説内のお母さんは アルツハイマーっぽい設定でしたね。 けれど アルツハイマーの人は あんな風に自分の最後を決定できないでしょうけど。 

それにしても 「死」という 大きなものは 壮絶なものだ。

 49歳で亡くなった私の母を 当時は「早すぎる死」に 可哀想だと思っていましたが 私達家族をたったの8日間で 自由に開放してくれた母に この年齢になって感謝すら感じています。
 3年前に肺癌で 逝った父も 我慢強い人だった。 実家の姉は、風呂で倒れた父の看護で大変だったろうけれど うちの義母の悪夢のような現状を思ったら あらゆる面で穏やかに 残される娘達の事を思って 静かに逝ってくれたと思う。
 今頃になって 本当の介護の現実を知って ますます 本当に 父母には感謝しています。 私も 父や母のように 家族に極力 迷惑をかけないで 穏やかに人生をまっとうできたら と 思いますが、その時になって見なくては 分からないのが真実なのでしょう。
 やっぱり、介護の終点は 看取るという場所に行き着くしか解決方法は ないんだという事なんですよね。 当たり前のことなんだけど…。


  


 「黄落」の中での 妻の気持ちや会話は、ちょっと あまりにも聖人っぽかったけれど、作者が「トモアキ」はダンナ目線で描き 実際に介護を頑張ってくれている妻を こうであって欲しいとの理想像も含めて 描いているのかもしれないと想像したら 理解できる気がした。 妻というのは 本当に微妙な立場です。 血縁がないので 義母の通帳すら私には直接 作ることは出来ないのです。 でも、雑用は妻がやる。 何の利益もないのにですよ。

 我が家だって ダンナは私の実家の介護には ほとんど無縁で ただ 私が実家に出かける事を許すみたいな感じで それが協力したと 思い込んでいる節がありました。 
 義母の介護は この7ヶ月間で 私は義母が私と関わった 30年間分よりも沢山の 重さがあると思っていますが アルツハイマーの義母には そんなことは違う世界の事なのだから 理解できるはずもないのです。
 「黄落」の中の父母よりも もっと 「事実は小説よりも奇なり」 なもので 現実はもっと厳しいのかも しれません。
 でも、私は 例え小説でも 児童文学の方が 明るい未来が見えて好きです。

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 サワさん。 いつも 聞きたいなぁって思っている事を しっかり書いて下さって ありがとうございます。  沢山のパワーもらってますよ。 再放送 見てみます。   
 

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コメント

>うっちゃん様
 黄落、読まれたのですね。私はあの「小説」というか
ドキュメンタリーのご夫婦の両方を経験?したような
ものなので、・つまり、もし早くに亡くなった妻が生きて
いたら当然私の母は妻が介護していたでしょうし、
その場合私はあの「夫」のような心情、行動をしただろうか?
と・・あの小説はテレビドラマ化もされましたので視聴も
しましたが・・、
 私のように(実)母の介護を専業に出来る、と言うのは
恵まれた環境なのかも知れません。

投稿: J.I | 2010年11月10日 (水) 03時41分

ブログ発見しました(*・ω・*)
ステキな写真がいっぱい!
また覘かせてもらいます☆

介護の大変さや色々な事情にびっくり(≧~≦)
何かお手伝いできる事あったらまた何でも言って下さいね(´▽`)

うっちゃんさんと違ってたま~にしか更新しないのですが
実は私もブログをやっています。
ホントお恥ずかしいくらいグダグダなので
お知らせするか迷ったのですが
暇なときあったらみてやってください.+:。(・ω・*)♪

http://nachiko16.blog.so-net.ne.jp/

投稿: なちこ | 2010年11月10日 (水) 11時53分

JIさま。
 気になっていたんです。ずっと。 
やっと 読み終えて やっぱり感想が書きたくなって ブログに書いてしまいました。 
また、いいお奨め「本」があったら 紹介してくださいね。
 ありがとうございました。

投稿: うっちゃん | 2010年11月10日 (水) 17時50分

なちこさま。
コメントありがとうございます。 
ほんとに読んでくれたのですねぇ。 
わたしも すぐに いきもの日記だっけ? 読ませてもらって 高橋 優くんの歌 聴きました。 いいですね。 心が入ってる感じだね。
さっそく 次のわたしのブログで 勝手に使わせて貰いますね。

 このブログは なちこさまには ちょっと まだ経験するにはまだ早いし 苦しい介護の話が多いので 楽しいページだけ 読んでね。 

投稿: うっちゃん | 2010年11月10日 (水) 18時00分

>うっちゃん様
 お言葉に甘えて?もう一冊・・

 「老人介護の常識の誤り」 三好春樹 新潮文庫
 
 題名からは今流行の「何とか本」に思えるかも知れ
ませんが三好さんは「NHK教育」で長年番組も持って
いらっしゃいますし、私も母の介護中はその番組、よく
みて納得、と・・(今でも放送しているのか、母の介護
が終わってからは見ていませんが・・・)

投稿: J.I | 2010年11月11日 (木) 04時13分

JIさま。 今度 図書館で 探して見ます。
ありがとうございます。

投稿: うっちゃん | 2010年11月11日 (木) 13時35分

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