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2010年12月27日 (月)

もしもし…

 「もしもし… そちらは○○さんのお宅でしょうか~?」
突然の名指しの電話は ちょっぴり どっきりする。
 「○○さん」と言うのは もちろん義母の名前が入る。
義母をこちらへ連れて来てから この手の電話は 「借金の返済」という話が多いからだ。

 
 この30年間 我が家は上・中・下とういうランクがあるとしたら 絶対に下の方の部類だったろうと思う。 
けれども、TVドラマのような借金に追われるという生活ではなかった。 こういう電話が 鳴る事も 知らない日々だった。
 森の中の日当たりの悪い小さい畑を耕し、今なら当たり前と思えるようなエコ生活をしながら ささやかな親子5人ののんびりとした田舎の生活だった。

 子供達のよく言う 「みんな持っているから 買って」という言葉は 聞かないようにしたし、雑誌やTVの資本主義の消費の誘い(いわゆるテレビショッピングだよ)にも 片目をつぶりなるたけ心を動かされないようにし、 質素倹約をモットーに
 「どうしても必要な物」と 「なくても我慢できる物」を買い分けて 貧乏は貧乏なりに 楽しく優雅に生きてきたつもりだった。
 
 が、義母と一緒に 「借金」という大きな不安もやってきた。
だが、本当は義母は田舎に新築の建売住宅がドカンとかえるほどの お金を以前は持っていたのだ。 その母が 甘い誘惑の「さが美」で全財産を散在し、その後にはローン地獄が憑いて来たのだ。 そんな事を知ったのは 今年の4月の初め。 O市に入院している義母に 病院から請求書が来たその時だった。 
 その後、困り果てた私を助けてくれたのは O市の消費者生活センターの若いお姉さん達でした。 
 その頃、かかり始めたのが「もしもし、○○さんの…」という 今思い出しても ドキッとする催促電話でした。 
支払い能力がないアルツハイマーの老人に 騙すように売りつけられた あってもなくてもいいような商品。 支払う必要がないものは 消費者生活センターで止めてくれてあっても電話は追いかけてくるのです。 の音は 怖いです。

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 今日の電話は 「借金」ではなかった。
もう一つの「もしもし、私はO市の○○さんの友人で…。」という パターンの電話の方だった。
 こっちの電話も 私には辛い。
 「義母は 介護2のアルツハイマーで施設に入所しています。」
と 説明すると 必ず相手は こちらを非難する。
 「だって、私の知ってる○○さんは お元気でしたよ。」
と こちらが 悪意で施設に追いやったかのように 
 「どうして? どうして?」と 連発する。

 本当ならば こちらが聞きたい。
今年の2月までの義母の様子を。 どうして誰ももう少し早く 病気に気付いてくれなかったのかと。 
 「普通だった、明るい可愛いお母さんだったですよ。」と 最後まで言われて 話が噛み合わないまま電話を切るのですが
アルツハイマーという病気の事を全く知らないで 話をしているのです。

 といっても、かく言う私だって つい先日までは アルツハイマーがなんだろうと関係ない生活をしていたのですから 相手にわかってくれといっても 解ろうはずもない事を知っていますが。 それだけに 身近にいた人たちが 「ちょっと おかしい?」と 気付いてくれたら… という気持ちは 今でもあります。 もちろん 、今となっては 全て手遅れなのですが。  

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 こんな電話の後は なんだか 無性に空しくなる。
私の知らない場所で したたかに楽しく生活していた 義母の今と違う顔が また見え隠れする瞬間。 関わりあいたくない過去の義母の知り合い。
  電話って 便利なようで 不便なものです。 顔も声も知らない誰かから 突然そうやってかかってくるのです。 できるだけ 自分やダンナの友人・知人は携帯で話すようにしていますが、仕事や連絡用に施設や市役所からは 固定電話にかかってくるので でないというわけには いかない現状があります。
 年末のなんだかなぁ~という夕方でありました。 


      

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