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2011年3月10日 (木)

3月10日

 今日は ずっと以前から書こうと決めていた話があったのです。
それなのに 朝 一本の電話で 頭が空っぽになってしまいました。
その事は また日を改めて書こうと思います。
それで お散歩が終わった時点で 何ともお気楽なお散歩日記みたいなブログを書きました。 
なにか大事な事…を忘れている。
そう心のどこかで引っかかって 忘れていたのがこの日付。
 3月10日。 この日が大切だったのに…。

 ちなみに 今日の朝日新聞の天声人語には 66年前のこの日の東京大空襲の記事が 書かれていました。
 3月10日は大変な一日だったんだね。
でも、私が書きたいのは そんな日本の忘れてはいけない大きな事件の日だったということではありません。

 ただ 大切なのは「今日は 母の誕生日でした。」ということです。 
過去形なのは母は もうずっと以前に他界しているからです。

 私の記憶に住んでいる母は 明るいとても面白い人でした。
涙もろくて 新しいものが好き。
今の私にそっくりのおんなじ(?) 私の原点みたいな気がします。
母が亡くなったのは 49歳の時です。
当時20代前半の私には 母が倒れて息を引き取るまでのわずか8日間が
ずっと信じられませんでした。
明るくて 元気で 強くて…。 そんなイメージしか母には抱いていませんでしたから。
子供なら 自分の親が突然いなくなるなんていう想像をしながら
学校に通ったり、心配したりしないものでしょう?
 「うちの母は病弱なの。」と 話す友人もいました。
けれども それは友人の母の事であって 自分の母と重ねることが出来ない
自己中の私でした。
その上、恋愛に 仕事に 一人旅に夢中で 親が今何してるとか、悩んでいる
など 今の私ならきっと見えていたであろう多くの現実を ちゃんと
考えてあげたり、聞いてあげる事もなく  気付いてもあげなかったのでした。
自分の楽しい世界にとっぷりと浸かっていました。
親たるものの人生がなんたるものか…そんなことは私の頭の中にはこれっぽっちも
存在していなかったのです。
自分は自分。 
自分の事は自分でする。 それくらいのエゴイストでした。

 
 母に『お誕生日おめでとう。』と 大人になってから言った記憶がない。
小学生のころ、姉と少ない小遣いで『お箸』をプレゼントしたことを覚えている。
とっても嬉しそうだった。
笑っていた。 そんな「お母ちゃん、大好き!」だった。
母の記憶は 断片的だ。
私が自分で記憶を消しているのです。
母を思うと どうしても祖母と記憶が交差する。
今でいう 嫁姑戦争が その頃の思い出に重なる。 
それはまだ小学生だった時代の 母と祖母の確執と それに伴ういろんな
悲しい思い出へとつながる。 子供心になんとかならないものかと
ののしりあう女達の醜い争う姿を見たくないと思っていた。
父は 卑怯にもどちらの味方にもつけない。
いわゆる大家族だったので 子供たちはお互いの母親につくのです。
祖母には 大きな叔父さん・叔母さんが、母には私たちが。

 子供ながらにどちらの言い分が正しいのか よく私は考えていた。
祖母とはいえ 「お母ちゃんを泣かす人は許せない。」
「お母ちゃんを守れない お父ちゃんはずるい。」と思っていた。


嫁という言葉が 奴隷のようにはびこっている、旧いキツイ祖母だった。
そんな時代と言われれば まだまだ時代遅れの風習もあったけれど
母をいじめる事で ストレスを発散させていたんじゃないのかと
今思い出しても そう思える。
ずいぶんと 意地悪もされていたので 台所で泣いている母を見かける
こともあったのだ。
小姑たちが お嫁に行き、祖母の勢力が少しづつ衰え始めた頃 
私達姉妹も 大人になったので 自分の事で忙しくなっていた。
すると 世界が外に向かって開かれて 私には家族が見えなくなっていった。

 そんな頃 母が倒れて 遠い所に逝ってしまったのです。

 「おめでとう。」も「ありがとう。」も 言わないまま 
結婚も子育ても夫婦のなんたるかも 知らない私が
母のお葬式に 大泣きをしながら思ったのは おこがましくも
 「お母ちゃん、幸せだったの?」でした。

 あれから 私も母となり 遠い昔の忘れられない言葉を思い出す。
 「だれが一番好き?」
と聞いたわたしに
 「子供は みんな同じ。どの子も大好きだよ。」
って 嬉しそうに笑ってた母。

自分の子供達に 同じ台詞を言われて
 「みんな大好きだよ。」と 答えた子育て時代。 それも 過ぎた。

けれど きっとずっと忘れない誕生日。
母の生まれた日。

 今日こそ そっとつぶやいてみよう。
 「お母ちゃん。 お誕生日おめでとう。 
お母ちゃんは幸せな日だってあったんだよね。
ありがとう。 今でも 大好きだよ。」

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