静かな 日曜日
市役所から 国保の「高齢受給者証」が 届いたので 久しぶりに 日曜日の施設に出かけてきました。
この 8月から 高齢者の一部負担金が2割になるという保険証です。
ちっとも嬉しくもありませんが ここでボヤいても これはもうずいぶん前に法律として 国会で決まってしまっていることなので とりあえず、早めに届ける事にしました。
忘れてしまいそうな物は(特に義母の物は) なるたけ素早く済ませるということを 最近はモットーにしています。
物忘れなんて この頃は他人事ではないという危機感が 年齢と共に 押し寄せてきます。
後回しになんかしておいたら 「提出期限を すっかり忘れてる~」なんて 今まで笑って過ごしていた事が 笑ってなんかいられない…と いう真事が いっぱいあるのです。
本物のアルツハイマーの義母を介護してからは 今まで見えていなかった「すぐ近くにある現実」が 見たくなくても 見えてしまうこの頃です。
日本の法律は 自己申請型なので 何かしてもらいたい事は まず自分で手続きをしないと 何一つ行政は 動いてはくれません。
手続きが終わって やっと「提出してください。」と 送られてきた書類も
おっとうっかりや ついつい後でと思って 出し忘れてしまえば
申請しなかったということは 必要なかったもしくは了承したと 行政では解釈されてしまうわけです。
例え きちんと申請したとしても それが必ず通るとは 言えないのも事実ですし。
世の中には「ごねるが勝ち」と思っている人がたくさんいるのが 分かってきました。
それはそうでしょう。
黙っていては 何一つ動いてくれないのが行政ならば ほとんどの住民が黙々と働いている日本国の中で 「俺の所の道が…」とか 「信号機が…」とか そのカラクリを知っていて 先に言い出したもん勝ちに 決まっています。
自民党の横柄な時代が こうして何十年間も 続いて来たのですからね。
こんな 息苦しい時代になってしまったと 今さら ボヤいてもしょうもない…か。
日曜日の施設は とっても静かです。
11時過ぎの日差しは強いけれど 施設の中は 程よい涼しさです。
午前中のベッドメーキングが終わった後なのか 部屋からは掃除機の音が聞こえていました。
タンスの中の 不用品をチェックします。
入所初めは 結構 きれいに片付いていた引き出しの中も 今はグチャグチャ。
ちょうど 我が家にいた時のようになっています。
自分の部屋になった、緊張感がなくなったということなのか それとも
何処に 何をしまったのか 忘れちゃたのかな?
そうだね。 きっと。
そのまま そっと 足りない物がないか確認して 閉めておきました。
長期入所者のいる2階のヘルパーさんに
「なにか問題はありますか?」と お決まりの言葉を訊ねます。
「大丈夫ですよ。 穏やかに過ごされています。」と いつもの お返事。
何にもないのが 幸せの証しみたいなものです。
お掃除の間、入居者の人たちは 食堂のいつもの場所に お行儀良く座っていました。
TVの音が聞こえてきます。 そんなに大きな音でもないのに TVの中の声だけが響いています。
20数人は 座っているはずの大きな食堂です。
けれども、相変わらず 誰も声すら出さない静かな 老人たちの塊。
「お婆ちゃん…。」
いつもの場所に こっちをむいて座っている。
声をかけようと思ったけれど こっちを見ているその目に 今日の私は 見えていませんでした。
目がとってもいい お婆ちゃんが 目の前の私に気がつかない日が 多くなってきています。
介護士さんに 目で合図をすると 「そのままでいいですよ。」と おっしゃいました。
それで 今日は 蝋人形のように時間の止まったままの 日曜日の老人たちの姿を
そっと垣間見て 事務所で挨拶をして 帰ってきました。
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事務所には お義母さんが入所する時に いっぱいお世話になったマネージャーさんが一人で 日曜当番をされていましたので ちょっと立ち話を させてもらいました。
「お義母さんの時の ケアマネージャーさんが 7月末で 移動されてしまうんですよ。」
と聞かされて ちょっとショックでした。
このケアマネージャーさんには 本当に初めから ここに入れてもらえる最後(まだ最後じゃあないですが…)まで お世話になりっぱなしでした。
思い悩んでいる家族に いろんな面で 相談に乗ってくれ、たくさんの助言もいただきました。
彼女がいてくれなければ 今のこんなに穏やかな義母の毎日や 我が家の生活なんて送っていられるはずもなく きっと あの恐怖のパニック状態が 今だに続いていたかもしれません。
彼女の移転先は もうちょっと 介護度が進んだ人たちの住んでいる老健です。
いつかその内 何年か後には またお世話になる日もくるかも しれませんね。
その時 また いっぱいお話を聞いて欲しいです。
なんだか 寂しい気分の 帰り道でした。
本当にありがとうございました。 本当に お世話になりました。
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