ACL」は「Anterior Cruciate Ligament」の略で、日本語では「前十字靭帯」(ぜんじゅうじじんたい)と言います。
前十字靭帯は、膝の下の骨(骨、骨)が内側に回旋し過ぎたり、前方に出過ぎるのを防止する機能を持っています。この機能により、急激にストップしたり、方向転換したりしても、膝の安定性が保たれているのです。
一本の紐のようにも見えますが、細い繊維が束になっているような構造をしており、一番外側には膜のようなものがあり血管がとおっています。
前十字靭帯には「メカロリセプター」と呼ばれる人体センサーが豊富に含まれており、膝の角度や膝にかかっているストレスなどを神経をとおして脳に伝えています。このセンサーによって、自分の眼で膝を見ていなくても、膝がどういう状態にあるのかを感じることができ、通常は、膝に安全な動き方をするように脳が制御しています。
膝には4種類の大きな横綱級の靭帯があります。
「前十字靭帯」、「後十字靭帯」、「外側側副靭帯」、「内側側副靭帯」の4つです。
膝の解剖図(クリックすると別ウインドウで拡大表示します。)
前十字靭帯をはじめとする膝の大きな4つの靭帯は、かなり丈夫にできており、ちょっとやそっとのことでは損傷しません。
しかし、膝は非常に複雑に精密にできており、微妙なバランスのうえにその安定性を保っているものですから、膝の角度や外力の加わる方向によっては、案外簡単に損傷してしまうことがあります。
前十字靭帯は伸びたものが元の長さに縮んだり、切れたものがほうっておいてくっつくことはありません。
ただし、損傷後すぐに特殊な装具を用いることで前十字靭帯の自然修復を試みる治療法もあります。
損傷するケースは「交通事故」と「スポーツ」が多いです。
交通事故では、バイクの転倒や衝突、自動車に跳ね飛ばされる(特に膝の裏側に強い力が加わったとき)などのケースが多く、交通事故の場合は前十字靭帯だけでなく、その他の膝靭帯や半月板も、ひどいときには膝関節軟骨も損傷を受けることがあります。
スポーツでは、サッカー、バスケット、ハンドボール、バレー、ラグビーなど、急激に方向転換したり、トップスピードで走ったり、急にストップしたり、切り返したりなど膝に大きな力が加わる競技及びタックルなどで予期しない外力が加わるような特性のある競技で多く損傷が発生するようです。スノーボード、スキーなどの膝を捻りやすいスポーツは、前十字靭帯はもちろんのこと、半月版や他の膝靭帯損傷の可能性が高いと言えます。
前十字靭帯損傷の典型的な膝の状態を「knee in toe out」といい、「膝が内側に入り、かつ、つま先が外側を向いている状態」で踏ん張ったり、膝を伸ばしたり、急にストップしたり、高いところから着地したりといった動作をした場合に容易に前十字靭帯が損傷すると言われています。
2002年のシーズンにプロサッカーチームのコンサドーレ札幌に所属していた山瀬選手は、右ひざがこのような状態にあるにもかかわらず、後ろか飛んで来たボールに触れようと足を伸ばして踏ん張ったため、他人との接触プレーではなかったにもかかわらず、前十字靭帯断裂を負ってしまいました。コンディションが良くて、身体がキレていたからこそ足を出せたわけで、それが仇となってしまいました。このように、接触プレーなどで予期せぬ外力が加わっていない状態でも、勢いで膝の安全な使い方を逸脱してしまうと、自分の筋力で切れてしまうことがあるのです。
「前十字靭帯の損傷」は、完全に切れてしまう「断裂」だけでなく、靭帯が「伸びた」状態も含み、もちろん部分的に「断裂」している場合も含みます。前十字靭帯は、完全に切れてしまった場合はもちろん、部分的に切れたり、伸びた状態でも、正常にその機能を発揮することができず、膝の安定性に大きな影響を与えます。
前十字靭帯が損傷したまま、トップレベルでスポーツを行うことは、ほぼ無理と言われています。
例外として、プロサッカー選手の「城選手」は、高校時代にACL損傷を負いましたが、膝周りの筋力を鍛え、ACL損傷を意識した膝の使い方をマスターすることでトップレベルで競技生活を続けていると言われています。(どこまで本当なのかは不明ですが、ACL損傷を理由に欧州のチームが獲得に二の足を踏んだと言う噂もあります。)
レクリエーションレベルでのスポーツであっても、前十字靭帯を損傷したままの素の膝では、危険です。膝の使い方によっては、いわゆる「膝崩れ」(前十字靭帯を損傷しているために膝の回旋や膝から下の骨が前方に異動しすぎるのを防ぐことができず、関節が正常な位置から大きくずれたりひねったり、脱臼状態のような感じになること。)を起こすことがあり、膝崩れによって半月板、他の膝靭帯、関節包、膝関節軟骨などを損傷してしまう危険性があります。
膝崩れを何度も重ねていくうちに、膝組織の損傷が自然修復不可能な状態になってしまい、その刺激によって「変形性膝関節症」という非常にやっかいな病気を発症してしまう可能性が高まります。変形性膝関節症は文字どおり膝関節が骨から変形してしまうため、膝関節が正常に動くことができなくなり、進行すれば走るどころか歩行さえ困難になり、痛みも強いですし、正座もできなくなってしまいます。治療方法は筋力増強による膝関節の保護、痛み止めの服用や注射、装具による膝関節保護、手術による人工関節置換などがありますが、どれも膝を元の状態に戻すことはできず、痛みや不便さとずっと付き合ってゆかなければなりません。
前十字靭帯には「メカロリセプター」と呼ばれる人体センサーが豊富に含まれており、膝の角度や膝にかかっているストレスなどを神経をとおして脳に伝えています。このセンサーによって、自分の眼で膝を見ていなくても、膝がどういう状態にあるのかを感じることができ、通常は、膝に安全な動き方をするように脳が制御しています。予測できない外力が加わったりした場合や前十字靭帯に力がかかりやすい動作をトップスピードやフルパワーで出していた場合は、センサーが危険を感知して脳に知らせても回避できないことがあり、その結果、前十字靭帯に過大な力が加わって前十字靭帯が伸びる、切れるなどの損傷を受けることになります。
前十字靭帯が断裂したときは、「ブチッ」とか「ゴリッ」とか「グキッ」などの異音がすると言われています。周りにいた人達が聞くこともありますし、本人だけ聞こえる(骨を伝ってくる振動を感じているのかもしれません。)こともあります。
音と同時に、かなりの痛みを感じるはずです。この痛みが、前十字靭帯そのものの痛みなのか、同時に損傷した他の靭帯や半月板や関節包の感じる痛みなのかはわかりませんが、「これはまずいな」とかんじくらいの深い痛み(わかりますか?この感覚。)を感じるはずです。
前十字靭帯が断裂した場合は、関節内に出血を生じ、数時間すると大きく腫れます。
受傷直後でも足を地面に着けないほどではない場合が多いようですので、歩き出すなど動き始めたら膝の不安定性に気づくことになります。運が悪ければ、この段階で膝崩れを経験して、前十字靭帯以外の膝組織も損傷を受けてしまうかもしれません。
膝の靭帯の怪我が疑われる場合は、自分で動こうとせずに、救助を待ちましょう。
靭帯が切れた写真 (クリックすると別ウインドウで拡大表示します。)
膝の裏側から強い衝撃を受けたか?
knee in toe outの状態で膝を強く伸ばしたり着地したりしたか?
膝の外側やや後方からタックルを受けるなど膝関節が内側に入り込むようにねじれたか?
スキーやスノボで膝を激しくねじったか?
ボールを蹴る動作の膝を伸ばした状態のときに膝から上の部分を押さえるように相手の身体や足がぶつからなかったか?
膝に痛みを感じたときに「ゴリッ」、「ブチッ」などの異音を感じなかったか?
これまでに経験したことの無い痛みか?
立ち上がったときに膝に不安定感(グラグラ、関節が浮いてる感じなど)を感じるか?
膝が大きく腫れてきたか?
膝を90度曲げてふくらはぎ部分を膝前方にゆっくりと押し出すようにしたときに関節の緩み(異動)が怪我をしていない側より大きいか?(人によっては断裂していると、目で見てわかるくらい、1cmほども膝関節の下部分が前方に移動してしまうことがあります。受傷直後は痛みで膝関節が硬直しているはずなので、判断は難しいと思います。)
簡単なチェック方法を紹介しましたが、怪我したときは自分も周りも興奮していることが多いので、冷静に判断できない可能性があります。膝に違和感を感じたら安静にして、時間をあけて落ち着いてから再度チェックしてみてください。
前十字靭帯を損傷していても、2週間もすれば痛みや腫れがひいて支障なく歩いたり走ったりできる場合がありますので、治ったと判断しないで、面倒でも膝の専門医のいる整形外科で診察を受けてください。
前十字靭帯の損傷に限らず、膝に経験したことの無い嫌な感覚がある場合は、できるだけ安静にして、体重をかけたり捻ったりしないように注意してください。なんらかの膝装具(ニーブレイス)をお持ちの場合は、それを慎重に装着したうえで膝に負担のかからないように安全な場所に異動してください。
痛みを感じたら、まずはしっかりと冷やしてください。
氷などで10分から15分くらい、膝全体を冷やしてください。凍傷になってしまうほど冷やす必要はありませんが、暖まりきらないうちに膝関節をひやすことを繰り返してください。
冷やすと痛みが若干和らぎますが、無理をしないで安静にしてください。
膝の専門医のいる病院を探してください。
日ごろから情報を集めておくことも必要ですが、緊急時には消防署や自治体のサービスで教えてくれる場合がありますので、電話をかけて確認してください。(病院によっては「膝の専門外来開設しています」といった表示や案内をしているところもあります。)
膝の怪我の診断は、経験が豊富でなければ誤診してしまう可能性が非常に高いと認識してください。整形外科医と言ってもそれぞれに大学で研究していた専門や医師になってから専門に診察や研究を続けている分野はそれぞれの医師で違います。膝の怪我については、必ず膝を専門としている医師に診てもらうようにしてください。
休日など当番病院しか開いていなかった場合で、その病院に膝の専門医がいない場合は、その場で応急処置を受けることは特に問題ない場合がほとんどと思います。翌日からは積極的に病院を変えてかまいません。病院を選ぶ権利は患者側にあります。
レントゲンは骨しか映りませんので、レントゲンだけで靭帯や半月板や軟骨に損傷がないかどうかはわかりません。
膝の専門医は前十字靭帯の損傷を診慣れているので、簡単な手技テストを施すだけで、前十字靭帯が正常に機能しているかどうかを判断することができます。具体的には、膝を90度に曲げてベッドに寝た状態で医師がふくらはぎ部分を持って前方に引き出したり、膝関節の上下を両手で前後左右に動かすなどして関節の緩みをチェックしたり、膝をわざと不安定な角度に保持して伸ばしたり曲げたりして関節のずれなどをチェックしたりします。
痛みがあるうちは、関節周りの筋肉も緊張しているので正確に手技テストが出来ない場合があります。
前十字靭帯を損傷したり、半月板の血流のある部分を損傷すると、膝関節に注射を刺して関節液を抜いたときに出血が確認できます。関節液に出血がある場合は高い確率で膝のどれかの靭帯が損傷しています。
怪我した後に膝崩れ(giving way)を起こしたとか、階段を下りるときに膝に不安感を感じるとか、歩くたびに音が鳴る、膝に不安定感を感じる、正座から立ち上がるときや膝を組んだり解いたりしたときに膝関節が外れたような感じになることがある、などの症状も前十字靭帯損傷の可能性を示します。
膝を伸ばしてベッドに寝た状態で膝の前方への引き出しテストをする機械もあります。機械が前方引き出してストをやってくれて、数値で緩み具合が表示されます。怪我していない側の膝の数値と比べることで異常がわかります。(正常値は健常側との差が5mmまで)
手技テストにて前十字靭帯の損傷が疑われる場合は、MRIで膝の内部を撮影します。
MRI画像には、靭帯、軟骨、半月板も映りますので、異常がある場合は画像として表れますので、より正確な診断が可能です。
半月板が損傷がMRIでわかっていたら部分切除や縫合などの処置をするためと、切れている前十字靭帯を取り除くために、関節鏡による手術を行うことがあります。(私は関節鏡手術を受けました。)
前十字靭帯が切れているかどうかを確認するだけのために関節鏡手術を行うことはほとんど無いと思います。なぜなら、膝の専門医であれば、手技テストとMRI画像でほとんど診断が着けられるからです。
関節鏡手術は、多くの場合は半身麻酔で患者は意識があります。手術中に膝の中の様子をモニターで見せてくれますので、前十字靭帯が切れているかどうか、その他の組織は大丈夫かどうか?を自分でも確認することができます。
合併症
前十字靭帯を損傷した場合、同時に半月板や膝関節軟骨を損傷している場合があります。
内側側服靭帯も損傷しているケースも多いようです。
前十字靭帯の再建手術を受けずに、切れたままにすることも選択肢の一つです。
再建手術を受けなくても、切れてブラブラしている靭帯を切除したり、合併症の半月板損傷の処置をするなど、関節鏡手術を受ける場合はあります。
一般には、特にスポーツをしないとか、仕事や年齢の関係で長期間のリハビリが不可能であるとかいったような場合で、膝の不安定性がひどくない間は、再建手術を勧めず、筋力トレーニングと安全な膝の使い方の習得だけで対処する場合があります。
手術をしない場合は、手術による膝関節組織へのダメージは無いというメリットがあります。
前十字靭帯を自己組織(人口靭帯を使用する場合もあります。)を移植することで再建する治療方法です。
手術が成功し、リハビリも指示にしたがって適切に行えば、約6ヶ月~1年後には、スポーツに復帰可能です。
完全に元の感覚を取り戻すことはできないかもしれませんが、スポーツを続けたり、仕事が力仕事であったり、よく歩く仕事の場合や、年齢が20台後半くらいまででアクティブに動くのあれば、膝の安定性のために再建手術を選ぶ場合が多いようです。
ただし、リハビリは自己流では危険で、必ず経験豊富な医師や理学療法士の指示に従って、長期間(最低でも6ヶ月、長ければ1年)リハビリを行わなければなりません。怪我をした後の安静状態によって怪我した方の足の筋肉が劇的に細くなってしまっていますので、それを戻すためと、神経的なバランスを取り戻すのに時間がかかります。
また、入院期間は病院や医師にもよりますが、だいたい4週間程度です。
1.BTB法
膝蓋骨と脛骨の間にある膝蓋腱の真中の1センチ程を上下に骨を付けて切り取って、これを前十字靭帯のかわりに移植(スクリューやステープルで固定)する方法ですこの方法では、腱が十分に太く丈夫で、骨と骨はくっつきやすいという特徴があります。 一方、腱を切り取った部分に痛みが残り、膝を着くことが辛くなる場合があります。以前、読んだことのあるスキーの雑誌では、この方法が「ゴールデンスタンダード」と呼ばれて多用されていたことが紹介されていました。 スクリューやステープルは、手術してはずす(抜釘という。)場合とはずさない場合があるようです。(私の場合はスクリューをはずさないでよいとのことでした。)
2.STG法
膝の内側にある半腱様筋腱と薄筋腱のうち、膝を深く曲げるときに使われるものの一部を切り取って折りたたみ、前十字靭帯の変わりに移植(スクリューやステープルで固定)する方法です。この方法では、手術の傷が小さいことや腱を切り取った部分に痛みが残らないという特徴があります。一方、膝を深く曲げる力(屈筋力)が弱まることがあります。(トレーニングで十分にカバーできます。)ボルトやステープルは、手術してはずす(抜釘という。)場合とはずさない場合があるようです。
3.人工靭帯
慶応大学出身の医師が採用する例が多かったとの情報をいくつか眼にしたことがあります。 Jリーガーのエスパルスの選手(堀池選手だったか大榎選手だったか?)が人口靭帯で再建手術したとの記事を読んだことがあります。人口靭帯は4年で8割が切れるといった記事を読んだことがありますが、真偽のほどは定かではありません。基本的にスクリューなどで固定されていますので、手術後のリハビリが早く再開でき、移植靭帯の成熟を待つ必要が無いので復帰までの期間が短く出来るメリットがあります。
チタンだそうです。チタンは骨との親和性が高いようです。
ちなみに、空港のセキュリティチェック・ゲートではブザーは鳴りませんでした。
前十字靭帯が切れていたり伸びている状態では、膝の安定性が悪いので、激しいスポーツは膝にとって危険です。
容易に膝崩れを起こし、膝関節組織が傷んでしまいます。「軽くスキーでも・・・」と甘く考えてはいけません。素の膝のままだと、スキーやスノボ特有の膝のねじれに対応できず膝崩れを起こす可能性が非常に高いのです。
したがって、スポーツを続けたいという場合は、再建手術を積極的に検討するべきです。
一方、あんまりスポーツはしないと言う場合は、再建手術をするデメリットの方が大きい場合があります。再建手術では自己組織の一部を切り取ったり、骨に穴を開けたり、膝関節組織へのダメージはそうとうなものです。再建手術を契機にして変形性膝関節症が発症するケースもある(特に女性に多いようです。)くらいです。また、リハビリはそうとうにきつく、長期間にわたります。仕事をしていたり家族の世話をしなければならないなど、自分の時間を多く取れない場合はせっかく手術を受けても適正なリハビリを行うことができずに、手術の成果を無駄にしてしまう場合があります。
しかし、スポーツ以外でも、膝崩れは起こります。ちょっとした段差を飛び越えたとき、階段を降りているとき、坂道を下っているとき、正座から立ち上がろうとしたとき、足を組んでいてほどこうとしたとき、電車が急に揺れて踏ん張ったとき、人ごみで押されて倒れそうになったとき、など様々な場面が膝崩れの可能性を持っています。
再建手術をしなくても、日常生活では、さほど膝の安定性に影響が出ない人もいますが、数年経過してから急に不安定性が強くなるようなケースもありますし、最初から膝の不安定性が強く出る人もいますので、症状は人によってまったく違います。
これらの諸事情を勘案して、不確実な部分もありますが、それぞれの治療方法のメリットとデメリットを比較して、自分にとってのメリットが最大の治療方法を選択すべきです。どうするべきかは自分で決めなければなりません。
私が受けた半月板一部除去及び縫合手術の傷跡の大きさ等は以下のとおりです。
● 膝頭下部の左右に1針縫うくらい(1cm)の傷→関節鏡と器具を入れるための切開跡。
● 半月板の縫合をする場合は、膝の左右に3針縫うくらい(3cm)の切開が必要です。
私が受けたSTG法による傷の大きさ等は以下のとおりです。
● 膝下内側のあたりに5針縫うくらい(3~4cm)の傷→移植用の腱を採取するためと靭帯を通す穴を開けるための切開跡。
● 膝上外側のあたりに1針縫うくらい(1cm)の傷→移植用の靭帯を通す穴を開けてスクリュー止めするための切開跡。
● 膝頭下部の左右に1針縫うくらい(1cm)の傷→関節鏡と器具を入れるための切開跡。
これらの傷は、手術から約4年経過した時点では、色はあまり目立たなくなっています。お風呂に入ったりすると傷跡が少し赤みをおびるので目立つかもしれません。男性なら気にするほどのものではありません。色白の女性でミニスカートを履く場合は気になるかもしれませんので、傷口が広がったり盛り上がったりしないように、専用のバンソウコウのようなもので押さえておく方法があるらしいです。
前十字靭帯損傷の診断を受けたら、再建手術をする場合もしない場合も、ニーブレイスを作るように医者に言われます。通常は病院に出入している装具屋さんで採寸してオーダーメイドで作ることになります。値段は10万円以上しますが健康保険で手続きすれば後から戻ってきます。
ニーブレイスを装着していれば、前十字靭帯を損傷していても、再建後の弱い靭帯でも、ある程度は異常な膝の動きを抑制してくれますので、リハビリやスポーツ活動や日常生活における膝の安全のために必要です。ただし、ニーブレイスをしているからといって過信は禁物です。
各種メーカーがあり、それぞれに特徴があります。メジャーなところでは、GⅢ(カナダのスキーチームで開発されたとか)、CTi2(案外コンパクトで軽い)などがあります。
手術後しばらくは膝は腫れて水が溜まっています。
腫れがひくのと水が溜まらなくなるのは個人差が大きいようですし、同様に痛みを感じなくなるまでの期間も個人差が大きいようです。
長い時間歩いたり、リハビリした直後に必ず氷嚢で患部をアイシング(膝全体を15分程度)しました。
手術後は、しばらく患部は固定状態であまり動かしませんから、毛細血管が退化してしまうようで、それに伴って足を下に下げていると浮腫んでしまって痛みを感じる場合があるようです。
なので、手術後のむくみを防止するためには、日ごろから毛細血管の発達を即すような持久系の運動を続けておくということでしょうか。怪我してからも手術までの間に、エアロバイクなど膝に不可の少ない運動で持久系の運動をしておくとよいと思います。
これは前十字靭帯の手術に限らず、大きな怪我をした場合や大きく切開する手術を受けたような場合は、患部が冷えや気候の変化で痛み出すことはありますから、この手術に特徴的な症状ではないのだろうと思います。ただ、膝は案外冷えやすいものですから、できるだけサポーターなどで保温してあげるとよいと思います。私は冬の屋外での作業(除雪作業など)のときは、ウエットスーツ素材のようなものでできたサポーター(スポーツ店に行くと売ってます。)で保温しています。
半月板の一部切除や縫合をした場合、半月板が経年変化を起こして痛みなどの症状が出ることがあるようです。これは手術をしていなくても加齢と共に半月板の異常が生じる場合もありますから、あまり気にしても仕方がないと思います。でも、手術をしたことで膝に大きな負担をかかえているわけですから膝のケア(運動後のアイシングや寒冷時の保温)は十分に気をつけるべきと思います。
前十字靭帯損傷時に半月板を損傷していたり、膝関節軟骨を損傷していたりした場合、それが刺激になって膝関節の骨が変形してしまう変形性膝関節症を発症する場合があります。また、再建手術を契機として変形性膝関節症が発症する場合もあるようで、特に女性に多いようです。手術による膝関節へのダメージが影響するようですが、膝関節組織になんらかの異常が生じていることによって微妙なバランスの上に成り立っていたものが崩れてちょっとした角度の変化などが影響する場合もあるようです。
したがって、前十字靭帯再建は手術をしたら終わりではなく、リハビリはもちろんのこと、保温や運動後のアイシングなどのケアが重要なのだと思います。
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最後まで読んでくれて ありがとう。 m(__)m
これで あなたは 靭帯がよーくわかったはず。
私のように ならないように 気を付けてね
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