病院か 施設か
私の新しい206号室のお隣さんは 優しくてしっかり者の おばあさま。
今年の5月に 靭帯の手術をなさって 右足には人工の靭帯が入っているそうです。
この中村さんが 10月15日 84歳のお誕生日を迎えました。
「私は 9月にまた足が痛んで痛んで、入院ですよ。 もう1ヶ月になりますよ。
私はいったい いつ退院できるんでしょうかねぇ。」
誕生日に家に帰れなかった…そんな寂しさが 言葉の節々に見え隠れしています。
「今日は 中村さんの84歳のお誕生日なんですって。」
と 看護師さんに伝えたところ
昼食のデザートに可愛いケーキと ナースセンターの看護士さん達の寄せ書きのお祝いのカードが 届きました。
「まぁ、まぁ~。 」と 嬉しそうでした。(*゚ー゚*)
入院するってのは とかくお年寄りには 疎外感があるようです。
最愛の自慢の息子さんは 今や お嫁さんの言いなり(?)で 病室に訪ねて来てもくれない…大いなる不安。
「私はいったい いつになったら痛みが取れて 帰れるのか? 帰ったって家でひとりぼっち…だからね。」
※
「私は24針も 縫ってありましたよ。 おたくは何針でした?」
と聞かれて
「私のは外から見えるだけですけど 8針っぽいですね?」
事実この時は まだ抜糸していない状態でしたので…。
「そんなに少なく手術ができるのに どうして私は20針も~!!」(絶句)
※
「足が痛い」と感じる感じ方にも 大きな個人差があるようです。
中村さんは 毎夜 痛い痛いというので(と言っても大騒ぎをするわけじゃあなくて ずっと夜中 我慢なさってる訳です) 看護婦さんや担当のお医者様やリハビリの先生が 検討して話し合って 痛み止めの注射を 足や腰、肩などに あちこちにしているのです。
「注射?薬? 出来るならしたくない」と 思っている私には とんでもない事なのですが
注射で一瞬に痛みが治まる事に慣れてしまっている彼女には 看護婦さんの
「出来るだけ 注射は我慢しましょう、痛み止めは飲まないようにしましょう。」
という 忠告さえも届いていない気がします。
そして 朝の回診の時に
「夜眠れるように 注射を打ってもらえないでしょうか?」
悪循環ですよね。
でも、お年寄りは 真が強く 他の人の言うことは ほとんど聞き入れませんよね。
だから、看護士さんや先生の話は 午前中は有効ですが 夜になると無効になっている気がします。
他の部屋のお年寄りも例外なく 同じようで 看護婦さんたちは慣れたもののようです。
本人が要求したことは よっぽどの弊害が出ない限り 病院では注射などはしてくれるようですよ。
この病院には 関連介護施設が 隣接されています。
なので 施設内で怪我をされたり具合が悪くなったりされたお年寄りで こちらの病院に入院している痴呆の方も いました。
介護施設では 当たり前の徘徊やトイレの粗相は 病院でされると看護師さんは大忙しで大変です。
一般の入院患者さんだけでも 手一杯の人数で三交代勤務ですもんね。
私の入院した初日から4日目までは 手首を痛めて入院してきたお婆ちゃんが 自分の病室が分からないというより 今自分が何処にいるのか時々分からなくなるらしく 自分の部屋を探して 一晩中ウロウロされていました。
看護婦さんたちは 「〇〇さ~ん!」と 探し回って大変そうでした。
入院中 洗濯機を回していると いつの間にか 知らない洗濯物が 入れられている事もありました。
新館から旧館に移った後は 男性の痴呆の方が 2名いました。
困ったことに 男性のトイレではなく女性のトイレに入ってくるのが お婆さん方のおおいなる不満で 看護婦さんには どっさり苦情が届いていたようです。
その上 一番いけないのは 便座やトイレの蓋に オシッコをひっかけることでした。
いくら看護婦さんが 「痴呆なのだから」と説明しても 病気の痴呆と ボケの痴呆の
区別は 同年齢の人には 理解しにくい現実があるようです。
特に ここの患者さんのほとんどは 女性の高齢者で足や腰などが悪いので 汚された便器があると トイレを使うことができないのです。
男性の患者さんは少ないので トイレで込み合って困るという状態は 殆どないのです。
痴呆の方は 便利な車椅子用のトイレを使用することはありません。
だから 松葉杖や車椅子を使わなくてはいけないような患者さんは (つまりは私もですが) 不便はなかったのですが それは 多分以前に痴呆症の患者さん自分自身が使用したことがないということです。
それと同じように病院では 夜などは紙おむつを使わせているようですが 痴呆じゃあないお年寄りは 紙おむつは使いたくないようです。
痴呆のお年寄りだって 自分で外してしまいますからね。
「ここは隣の施設じゃないんだから 夜中が本当に困るのよね~。」
と 仲良しになった看護婦さん達も ボヤいていました。
おむつ交換、トイレ掃除の手間が 俄然忙しいし、汚いし~仕事なんだし…だからといって放って置くわけにはいかないと思うもんね。
ご苦労さま。 頑張って!と 娘ほどの若い看護婦さんに エールを送るしかない 看護の(介護のかも?)現場を 見ました。
病院でも 介護施設でもお年寄りの数がベッド数のほとんどを占めている今の日本。
部屋が分からず、違う部屋の空きベッドで寝てしまったり 病院中の部屋を覗き歩くお婆ちゃん。
耳が悪いので大きな声で 怒鳴り合っているお爺ちゃん。
一日中 トイレに座り込んでいるお婆ちゃん。
正常な脳を持っている一応健康なお年寄りは 喜怒哀楽が激しいので 水を打ったような穏やかな静けさの介護施設の老人たちとは 全然 違うのです。
病院が9時消灯に 決めてあるのも 看護婦さんの労働とかを考えたら当然の時間なのかもしれません。 消灯したって動き回っているお年寄りは いっぱいいますもんね。
高齢化日本。
今のうちに この現状をちゃんと把握しておかないと 怖いよ~。
お年寄りは 長期入院で心を病んでいるし 核家族で家にいても心は 病んでいる。
アルツハイマー人口は 急増中だし。
そして あと何十年かしたら…。
ベッドに座っているのは 私の姿かも…((´;ω;`))
その時 どうなるのかな 日本??
幸せな未来でいてほしいなぁ……
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